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2023/07/11(火)-1

公園から

はぐくみの里・既存池の生物保護作業 実施報告

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川崎市富士見公園の再編整備工事のため、はぐくみの里既存池に棲む水生動物の保護作業を川崎市役所立ち合いのもと、民間専門機関と実施しました。

実施日

2023年5月25日(木)

作業者

富士見パークマネジメント株式会社、株式会社地球工作所

立会人

川崎市建設緑政局

はじめに

今回作業を実施するにあたり、なぜ実施する必要があるのか、生物調査の民間専門機関である株式会社地球工作所の見解と川崎市の了解を得て、現況と背景をご説明します。

現在の池に生息している生物は元から生息していたものではなく、飼育放棄で池に投棄された錦鯉やアカミミガメ、アメリカザリガニなどの外来種が中心となっています。いずれも水生昆虫や水草など何でも食べる雑食性であり、また水草を切るなどして他の生物の棲み処や産卵場所を奪ってしまうことで絶滅に追い込んでしまうこと、また鯉は周辺水域から日常的に自然に補充される水草やタニシなどの水生貝類、トンボの幼虫(ヤゴ)など、池の水質を自然浄化する効果のある動植物をことごとく食べてしまうことから、水が濁ってしまうという問題点も指摘されています。

整備後のビオトープ池では、基本的に地域本来の野生生物が自然に集まってこられるような環境を用意し、その状態を継続的に管理することで生物多様性の保全に努めていきたいと思っております。そのため、生態系に多大な影響を及ぼす現在の生物を引き続き放流してしまうと、生物多様性を保全することは難しいという専門機関の意見を踏まえて検討した結果、整備後のビオトープ池には戻さない方針を決めました。ただし現在の池の生物も引き続き他の環境で生き続けられるように、譲渡先や里親探しを行なってまいりました。

以上の状況を踏まえて、(株)地球工作所監修のもと、保護作業を実施しました。

作業工程

保護作業は、以下の工程で実施しました。

①水抜き

池の水位を下げ、効率よく水生生物を保護するために、池の中央底の敷石から20cm程度の水深を目安にポンプによる水抜きを行いました。

②水生生物の捕獲

たも網を用い、水位の低下した池の水位から水生生物を捕獲しました。

③水生生物の保管管理

捕獲した水生生物は、種類ごとに適正容器に分けて保護しました。

実施結果

◇保護した生物

・爬虫類

①アカミミガメ(ミドリガメ)
4匹(メス3、オス1)を捕獲。うち2個体には甲羅に明らかな飼育ひずみによる変形、加工が確認されたことから、飼育されていた個体が放逐されたものと判断されました。

②クサガメ
2匹(メス1、オス1)を捕獲。メス個体は甲羅が摩耗していて正確な年齢は確認できませんでしたが、少なくとも20年以上生きている老齢で、甲羅の全体に変形(飼育ひずみ)がありました。またオス個体には甲羅に人為的に削られた痕があり、人に懐いている様子から自然に公園内の池に移動してきたものではなく、人に飼育されていたものが放逐された個体であると判断されました。

・硬骨魚類

③コイ(錦鯉)
4匹とも体長40~70cm程度。10年以上の年齢と判断されました。

④ドジョウ
3匹(オス1、メス2)を捕獲。いずれも若魚で未成熟個体。

・甲殻類

⑤アメリカザリガニ
個体多数を捕獲。

引き渡し先

◇アカミミガメ

静岡県賀茂郡河津町にある爬虫類専門の動物園「iZoo(イズー)」に譲渡しました。iZooにはアカミミガメ専用の大きな飼育池があるため、今後はそこで適切な管理のもと暮らしていきます。

◇クサガメ

メス(左側)は老齢であることを考慮して、アカミミガメと同じく適切な飼育環境を備えるiZooに譲渡しました。オスはスタッフが引き取って飼育しています。

◇錦鯉

5月25日に一旦捕獲後、再注水した池に戻して里親を一般募集しました。その結果、伊豆高原にあるホテル「森の泉」にて引き取っていただくことになりました。7月2日に関係者に引き渡し、鯉特有の感染症対策のため一定期間隔離飼育した後、同ホテル敷地内の池に放流される予定です。

・隔離飼育中の様子

◇ドジョウ

捕獲後、水槽にて飼育をしていましたが、残念ながら死んでしまいました。

◇アメリカザリガニ

活発に動いてお互いを傷つけてしまうことを避けるため、水温を下げ行動を抑制する処置を行ったうえで、作業当日に譲渡しました。(譲渡先非公表)

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